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satyanamak*motiDD

Author:satyanamak*motiDD


2006年夏、
人人人ひしめくムンバイに
猫猫ひきつれやってきた二人組。
夫 Satyanamak と妻 MotiDD
2008年11月には新たに
ムンバイ生まれのチントゥーも
登場しました。

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【MotiDD】終着点にて

05月20日, 2007 | 旅に出た

2 Comments

山道に入ったとたん、ゾウの親子を見た。
川を挟んだ向こうの山に、小さいのと大きいのが斜面を歩いていた。
おぉ、これは野生の王国からの歓迎か、と、道中の野生動物との遭遇に期待してしまう。
だっていきなりゾウを見るなんて運がいいよ。

 

バスはまぁいつものごとく、混んでいる。
そこかしこで途中停車して人々を乗せるから、空くこともない。
道は狭く、対向車とすれ違うのがやっとの幅。
身体の大きな運転手さんはカーブごとにホーンを鳴らしながら、
えいやっと力いっぱいハンドルを切る。
ブレーキのタイミングなども絶妙で、その運転っぷりは実に頼もしい。
なんとなく見とれていたら、気づいた。
この運転手さん、顔の感じがM氏によく似てる……。

 

身体がゾウのように大きく、プライドをもって仕事をしており、
でも作ってくれたご飯を食べる前には必ず
「今日おいしくないね」とか「これおいしいかわからない」などと、
自信ないコメントを繰り出してきて、食べる私たちに無理矢理「おいしい」と言わせるM氏(実際とてもおいしいんだけど)。
長いこと連絡をしなかったりすると、必ず最低5分は「どうして電話しなかった」と説教する、
大きいくせに寂しがりやのM氏。
プリティ・ズィンターが好きで、『Chori Chori Chupke Chupke』を繰り返し観ていたM氏。
ディーワーリーにデリーで会った時には、日本での一人暮らしが長いせいでできた
家族とのあいだの溝を目の当たりに見てしまった。

 

カーブの道が続く。
お母さんの「昔は大人しい、素直ないい人だったのよ」という言葉が頭をよぎる。
M氏がもし日本に行っていなかったら、ずっと村で働いていたとしたら、
この運転手さんみたいに威勢よくハンドルを切って、たくさんのお客を運んでいたとしたら……
きっとワケもわからず機嫌を損ねることも少なく、家に帰れば子供たちに囲まれて、
この運転手さんのようにどっしりしたいいお父さんになっていたかもしれない。
もちろん、日本に働きに行くことは家族親戚一同に確実な収入をもたらすことであり、
その結果、子供たちをいい学校に入れ、病気の兄弟に適確な治療を施し、
金銭的な心配を多くすることなく暮らせることには間違いないし、
そもそももし彼が日本に行っていなかったら、自分がここにいることもないわけだが、

 

あの家の居間での、お父さんの所在のなさを思うと、そんな感傷的な考えが頭をよぎってしまう。

 

そんな感傷をよそに、いよいよ気持ちが悪くなって
全面的にもたれかかってくる長女、ニールーの体温が暑い。
乗客の嘔吐攻勢も始まった。
ニーティたちの横に立っていた緑のサリーのオバサンが、
突然 激しい勢いで窓を開けたかと思うと、
窓に手をつき、彼らの頭に身体をもたれるようにして吐き始めた。
プラディープは、吐き続けるオバサンに席を譲らざるを得なくなった。
こ、これは、ここまでなんとか吐かずに踏ん張ってきたニーティに痛い攻撃だ……。
ニールーももちろん安全ではなかった。
「子供がいるから」と人を押しのけて無理矢理私たちの目の前に座った若い奥さんの、
たしか4人も連れていた子供のうち、2人がスタートした。
うち一人は、ニールーの目の前の、知らないおじさんの膝に座っていたので、
もう、窓から身を乗り出すとなると、ニールーの膝に身体を載せるような格好になる……。

 

とにかく、このようにして何時間経ったろうか。
この旅、あまりにも長い。そして状況は厳しく、とても眠るどころではない。
途中で何度も停車してお客を拾うので、長旅に厭気がさした乗客から
M氏似の運転手さんに苦情も入る。
「乗って来るヤツらだってあんたらと同じようにどっかに行かなくちゃいけなくて
長い時間待ってるんだ。無視できるか!」売られたケンカはきっちり買う運転手氏。

 

バスの最終地点で我々の目的地であったベディカールに着いた時、
無言で降りていったニールーとニーティは、迎えに来てくれた少年たちに挨拶をする間もなく、
それぞれに離れた場所でげろげろしていた。
私は昨日の昼からチャーエを飲んだだけで何も食べなかったせいか、
最後まで気持ち悪くなることもなくバス旅を終えたが、二日間の不眠で気分は最悪だった。
出すものを出して、すっかり生まれ変わった面持ちのニールー・ニーティは、
村に着いたうれしさ、村に住む兄弟たちとの再会ですっかり盛り上がっている。
一方、わしはもう最低のいじけた気分で、荷物を持ってくれる少年たちにロクに挨拶もせぬまま
子供たちについて山道を歩き出す。
疲れのあまり、ほとんど泣きそう。周りの景色など、見る余裕もない。
30分あまり山道を歩いて、3時を回ったころだったろうか、家に着き、
結婚式のため先に村に来ていたデリーのお母さんの顔を見たら、
涙がどんどん出てきて、バカみたいに泣き出し、もう止められなくなってしまった。

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2 Comments

なんだか日本の山村を思わせる風景ですね。でも、ここにたどり着くまでの苦労はMotiDDさんの涙が物語ってるのかもね。涙で苦労が流れていってくれたらいいねぇ。

by みみ | 05 20, 2007 - URL [ edit ]

長々ながい文章+旅程なのに、毎回のようにコメントありがとうございます。

私、寝不足に本当に弱くて。眠れないとか、寝ていたいのに起こされた、とか、そういうのに極端に反応してしまう。この旅、ただでさえ長くて大変なのに、前夜もほとんど眠れなかったので、スタート時点でもう、ペトロールがゼロに近かったんです。だから無理だった。次に行くときは、前夜の睡眠もばっちり取っておくようにします。

by 【MotiDD】 | 05 21, 2007 - URL [ edit ]

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