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satyanamak*motiDD

Author:satyanamak*motiDD


2006年夏、
人人人ひしめくムンバイに
猫猫ひきつれやってきた二人組。
夫 Satyanamak と妻 MotiDD
2008年11月には新たに
ムンバイ生まれのチントゥーも
登場しました。

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【MotiDD】遠い国

05月11日, 2010 | 未分類

2 Comments
11/26テロ事件の実行犯10人のうち、唯一生き残ったアジマル・アーミル・カサーブに、死刑判決が下された。バンドラ・ウェストの繁華街にある古いビルの、小さな服地屋さんにいたときに、その店で流れていたテレビのニュースで知った。

これまでも、人形や写真などを使った半端に凝ったプラカードで「カサーブを絞首台に吊せ」とアピールする人々の報道写真を何度も見た。この土地の人々が、一刻も早い彼の死を願っていることを、知っていた。

家に帰って、裁判所の前の黒山の報道陣が、感極まったように報道しているのをテレビで見た。今朝の新聞では、カサーブが無差別に銃で大量殺戮を行ったCST駅の前で、祝いの爆竹を鳴らし、跳びはねる人の写真を見た。

カサーブの死刑判決は、祝うべきことだ。インドがクリケットのワールドカップで優勝した、というのと同じように、それは何の疑問を差し挟む余地もなく。裏切り者パキスタンが送り込んだ国家の敵は現在23歳である。

彼の犯した罪は、死刑制度がある国ならば死刑にする以外にない重罪だ。パキスタンの寒村の貧しい家に育ったカサーブがテロリストへと育ってしまった背景には、どうしようもなく根の深い問題がある、とはいっても、彼の犯した罪は、同情に値しないほど大きい。

彼が殺した人、ひとりひとりの後ろには、かけがえのない大切な人を失って心にいまも癒えない傷を抱いている無数の人がいる。立ち直ることが不可能なほどの傷を受けた人もいるに違いない。その人たちが抱える傷は、深すぎて私には想像ができない。一度の絞首刑で償うなど不可能な大罪だ。

人が人を裁くことの難しさなんて私には語れないし、死刑判決自体に異論を唱えようとは思わない。罪の重さに加え、カサーブを生かしておくことによって、カサーブの釈放を要求する輩が人質をとったテロ行為に走ることを防ぐべきである、という理由も伝えられている(過去、実際にそのようなハイジャック事件が起き、人質救出のため犯人の釈放を余儀なくされている)。

しかし。

判決理由のひとつとして『更正の可能性なし』というタヒリアーニー裁判官の言葉が伝えられている。『更正を待つに値しない重罪』というなら理解できるが、『可能性なし』とどうして誰に言い切れるのだろう?

同じく判決理由についての裁判官のコメントとして『彼は強制でも何でもなく、自分の意志でテロリストになった』と伝えられている。きっとそうなのだろう。でも、世界中の注目が集まるこの判決で、テロリストを生み出し続ける地盤について、憎しみと偏見の連鎖について、裁判官が一言でもコメントすべきではなかったのだろうか? カサーブに同情を見せる必要はまったくないとしても、21歳の青年がそうした残虐非道な行為に走ってしまうその背景について、問題提起する必要があったのではないだろうか。

生まれて10日足らずのチントゥーを抱え、悪戦苦闘している真っ最中の事件だった。夜中の授乳でもついテレビをつけてニュースを見てしまいながら、まだ解決してない、まだ終わっていない、とじりじりしていた。

事件が終結すると、10名の犯人たちがいずれも二十歳前後の若者だった、と報道された。暗澹とした。この人たちにも、年中無休でかわいがって育ててくれたお母さんがいるのだろう、と思った。誰よりも大事にしてくれたお母さんがいるのだろう、と思った。

唯一生き残ったカサーブの裁判報道では、そんな発言すらも許されない雰囲気を感じた。『Hang Him』吊せ、とシンプルな要求を人々は叫んでいた。私が被害者だったら、あるいは被害者家族だったら、一緒に叫んでいるに違いない。でも、カサーブの写真を焼きプラカードを掲げ歩く彼らの多くは、おそらく被害者とは直接関係のない人が大半だろう。

爆竹を鳴らし死刑判決を喜ぶ人の写真に引っかかりを感じてしまうのは、私がインド人ではないから。犯人がインド人の敵パキスタン人だから。憎しみの土壌に育っていないから。『愛国心』がまるで悪い言葉であるかのように教えられてきたから―――

最近、インドがひどく遠い国に思える。

CIMG0656.jpg

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2 Comments

テロはとても許せることではないけれど、何の情状酌量も与えられないのも、若い被告の年齢を考えると無情に思えるね。
国と国の間の感情が、とても色濃く反映している。
北朝鮮の金賢姫元死刑囚は、改心のチャンスを与えられ特赦を受けたのにね。
国民感情がここまでになると、裁判官もそれに逆らえないのかなと思ってしまう。

by みみ | 05 11, 2010 - URL [ edit ]

それはあると思います~……暴動はあちこちで起きただろうし、裁判官は襲撃におびえる生活になっただろうし。でも思うのは、裁判官自身もインド人だから、大半のほかのインド人と同じ感情を肌で感じているのではないか、と……。新聞には死刑執行人や絞首刑に関する具体的な記事(身長何メートルの人を吊す場合はロープが何メートル、とか、死刑執行人の給料がいくら、とか……)がよく目について、死刑に対する期待が高いのをひしひしと感じます。死刑が執行されたとき、また爆竹・花火が売れるのでしょうか……風が吹けば桶屋……複雑です。

by 【MotiDD】 | 05 14, 2010 - URL [ edit ]

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