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satyanamak*motiDD

Author:satyanamak*motiDD


2006年夏、
人人人ひしめくムンバイに
猫猫ひきつれやってきた二人組。
夫 Satyanamak と妻 MotiDD
2008年11月には新たに
ムンバイ生まれのチントゥーも
登場しました。

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【Satyanamak】初めてのタブラ発表会

04月29日, 2008 | インド古典音楽を習っています

7 Comments

インドの学校は4月後半から6月頭ぐらいまでが夏休みになる。
我々の通う音楽学校もそう。

校長先生がこの夏休みの前に退任されることになり、教員生徒一同が集まって
感謝の催しが行われた。学校の最上階にある大広間が会場だ。
そこでタブラ演奏を発表しろと先生に言い渡されたのだった。
人前でタブラを叩くのは初めて。普通は発表会はもっと小さな部屋でやるのだが、
いきなり大きめの場所でステージに上がることになってしまった。
演目は、昨年末の試験で覚えさせられた、ティーンタール・カイダという種類の
タブラ独奏曲に、トゥクラーという小さな曲をいくつかつなげた、
10分少々のソロ演奏である。
本当のタブラソロは、このカイダを基本にして即興でどんどん展開させていくのだが、

まだまだそんな高度なことができるわけもなく、すべて固定されたバリエーションを

丸暗記してそのまま演奏するだけ。初歩中の初歩である。

基本的には試験のときにさんざん練習した曲目+αなので、
落ち着いてやれれば何とかなるのだが、
さすがに初心者がたった独りでステージに上がって演奏するのは
どう考えても最高に緊張する状況だ。
バンドの一員として人前で演奏したことはあるにしても、始めて間もない楽器を
「本場」の聴衆の前で、独りで冷静に演奏できるのかどうか、どうにも心許ない。

 

当日、学校に着いて少し個人練習した後、会場へ。既に校長先生以下、
教員・生徒・関係者などたくさんの人が集まっている。
最前列に校長先生、お隣には前校長先生と新校長先生もいらっしゃる。
前校長は退任される現校長のご主人で、インド古典音楽界で尊敬を受けている
高名な声楽家・作曲家だ。ご夫人である現校長も声楽家。
この校長夫妻のご子息はムンバイのタブラ界でトップクラスの実力を誇る、
コンサートに引っ張りだこのタブラ演奏家。我々もこのプレイヤーのファンである。
新校長先生もまた、超一流タブラ演奏家の父と兄をもち、ご自身はサーランギという
弓弾き弦楽器のベテランプレイヤー。国際的に活躍されており、
私も名前をよく知っている日本の大御所ジャズ演奏家達とも共演されたらしい。
この偉大なる新旧三代の校長をはじめ、居並ぶたくさんのインド人聴衆の前で、
初心者で外人の私がタブラ独奏を披露する羽目になったのだ。いやはやなんとも恐ろしい。

 

独奏といっても伴奏者はいる。ハルモニウムという小型の手動式オルガンが、
レヘラというメロディーを繰り返し演奏して、反復されるタールの周期を示すのだ。
ティーンタールは16拍なので、16拍で一周するメロディーをずっと繰り返す。
演奏してくれるのは、ヘブレーカルさんというお爺さん。
いつもは廊下の奥の一角に座って毎月の学費を受け取る役目をしている。
白いインド服をいつも着ていて、70歳は軽く超えている小さく痩せたご老人だが、
ムンバイ人らしくピーンと威勢がよい。
ハルモニウムと合わせたことは一度もなく、本番の前にヘブレーカルさんと
リハーサルをする機会があるという話だったのだが、
いつものごとく事前の話どおりにはならず、ステージ上で初めて
ハルモニウムとお手合わせということになった。どうなることやら。

 
ハルモニウム
 
校長先生の退任の挨拶などがあった後、タブラの先生に「来い」と呼ばれ、
一番手としてもういきなり本番だ。
なにぶん初心者なので、ステージではタブラ教師のラージュー先生がすぐ横について、
要所要所で指示を出してくれる。
ハルモニウムが演奏を始めてテンポを設定し、それに合わせてタブラが入る。
先生が「始めろ」と指示したところで演奏をスタートした。
む、何だかやけにテンポが遅いぞ……。いつも練習しているときのテンポとずいぶん違って、
やりづらい。先生もテンポの遅さに気付いて、もっと速くしていいぞ、
ハルモニウムが合わせるから、と言うので、徐々に演奏のテンポを上げていった。
テンポアップしたはいいが、今度は加速が止まらなくてちょっと速度オーバー。
うわー、誰か止めてくれ!……という具合で最初はちょっとドタバタしてしまったが、
どうにか通常のテンポに落ち着いてカイダは進んでいく。
ヘブレーカル氏もさすがベテラン、こちらがよたよたしても何事もなかったかのようについてくる。
2 つ目のカイダに入った頃から聴衆の反応が少し耳に入ってきた。
途中で、演奏を一瞬ブレークさせてバヤン (左側の大きな方の太鼓) の音程をぐいっと
持ち上げるところがあるのだが、そこですかさず誰かの「ワアッ」という声が聞こえた。
これは日本人が驚いたときに言う「わあ」とは違って、感心したときなどに言う感嘆詞だ。
やっぱり反応があると嬉しいものだ。
カイダの終わりにやるティハーイを決めると、拍手も聞こえてきた。
けっこう集中して演奏できている。少なくとも自分が何をやっているのか把握しているし、
あっ、次は何だっけと記憶が飛ぶようなこともなかった。
最前列に三代校長が居並ぶ客席は、怖いのでもちろん見ない。
 

必死に演奏する筆者。左はラージュー先生、右はヘブレーカル氏。

 

カイダは4つやった。最後の方で少し疲れて集中力が途切れたのか、
小さなミスをいくつかやったが、何とか止まらずにやり通した。
カイダがどうにか終わって、拍手をもらった後、
テンポアップして短いトゥクラーをいくつか演奏。これは全部そつなく叩くことができた。
これでおしまい。合計12分ほどのステージだった。
付きっきりでいろいろ世話を焼いてくれたラージュー先生と、
よろよろの演奏に合わせてくれたハルモニウムのヘブレーカル氏に感謝。
ステージを降りて客席に戻る際、先生や観客から「いい演奏だったよ」と
声をかけてもらえた。うれしい。
いい演奏というのはもちろん、(初心者の外国人にしては) ということなのだが、
初ステージにしてはパニックにならずに自分でもよくやったと思う。
あとはもう肩の荷が下りた心持ちで気楽に後のシタール演奏などを見て帰った。

 

帰る際、サーランギの名手である新しい校長先生に階段で行き会った。
新校長先生は親指を立てながら「オツカレさまでしたー」と声を掛けてくださった。日本語で。
さすが日本のアーティストと共演された先生、日本語も操るのである。
また、いつも挨拶代わりに「ダイジョーブですか」とおっしゃる。うーん。
まあとにかく本当に、お疲れ様でした。大丈夫です。

 

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- Comments
7 Comments

ご無沙汰しています。
いきなり晴れの大舞台ですね。素晴らしいです。これでもう今後どんな舞台があっても恐くないって度胸がついたことでしょうね。ご帰国後は仕事の方よりタプラの演奏者としてのご活躍の道が待って居るかも? お元気で頑張ってくださいね。またお会いできる日を楽しみにしています。

by MayQ | 04 29, 2008 - URL [ edit ]

ポイッ!! (ノ゚▽゚)ノ ⌒~【☆:*:・おつかれさま・:*゚☆】
すごいです、初めての舞台で冷静に演奏できるなんて、尊敬します。
技術的な問題より(これはわからないので)、その度胸のよさに拍手パチパチパチパチ・・・。
今度のホーム・コンサートでは、ぜひ聞かせてくださいね。

by みみ | 04 29, 2008 - URL [ edit ]

MayQ様> コメントありがとうございます。いえいえ、これからも大小問わず舞台に上がる機会があればそのたびに緊張してうろたえることでしょう。日本にもプロのタブラ演奏者はたくさんいて、皆さんタブラ修行のためだけに渡印して有名な師匠のもと長年研鑽を積んだ方々ばかりです。私など到底足下にも及びません。帰国時には是非またお会いしましょう。

みみ様> 学生の時分にステージ上で傍迷惑な演奏をちょくちょく繰り広げた経験があったので、変にステージ度胸が付いたのかもしれません。ホーム・コンサート、次回があるかどうか分かりませんが、もしそんな機会があったらリクエストしてみてください。

by SatyanamakMotiDD | 04 30, 2008 - URL [ edit ]

このコメントは管理者の承認待ちです

by | 05 01, 2008 - [ edit ]

このコメントは管理者の承認待ちです

by | 05 01, 2008 - [ edit ]

お久しぶりです!なんだか、いろいろあってタイムリーに書き込めなくて・・・。こうしてブログや mixi でコミュニケーション取れることが嬉しいです。
発表会の高揚感と緊張感がとても伝わってきました。いやー、すごいです。
ジャズみたいな感じ?
聴く方もとっても楽しそうです。聴いてみたいです。

by mana | 05 17, 2008 - URL [ edit ]

コメントくださってたんですね、一ヶ月も気が付かなかった……ずいぶんな時間差コミュニケーションになってしまいました。 まあブログ主からしてこうなのでタイムリー性は気にしないでいつでも書き込んでください。
書いたように今回の演奏はまったく即興の要素がなくて決められたとおりにやるだけだったので、聞かされる方も退屈だったろうと思います。「本当の」演奏はジャズみたいに即興でどんどん展開していって凄まじいのです。ザキール・フセイン (インド人間国宝) のような一流演奏家なら、たった2個の太鼓だけで休みなしに一時間以上、途切れることなく全聴衆の耳を釘付けにしてしまいます。CDでは生演奏の迫力は伝わりません。機会があったらぜひ一度体験してもらいたいです。

by SatyanamakMotiDD | 06 18, 2008 - URL [ edit ]

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