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satyanamak*motiDD

Author:satyanamak*motiDD


2006年夏、
人人人ひしめくムンバイに
猫猫ひきつれやってきた二人組。
夫 Satyanamak と妻 MotiDD
2008年11月には新たに
ムンバイ生まれのチントゥーも
登場しました。

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【MotiDD】クロサワを観た。ありがとう、と言われた。

11月06日, 2007 | 未分類

8 Comments

映画の都・ムンバイで、世界に名高いクロサワ作品を、生まれて初めて見た。
この2日から8日まで開催中の“第6回アジア映画祭”で、
黒澤作品が何作か上映される、と友達が教えてくれたので、
この機会にできるだけ多くの作品を見てやれ、と思い、一週間の通し券を買ったのだった。

 

最初に見たのは黒澤明監督の最後の白黒作品『赤ひげ』。
ディーワーリーの買い物客でにぎわうダーダルの劇場に着いたときは、
すでに上映が始まっていた。

 

初めて見るクロサワ作品の、これが初めて見る“Mifune”。

翌日に見た『七人の侍』での役柄とは大違いで、

重厚感あるユニークなキャラがはまっていた。

 

 

白黒で、音楽や効果音がほとんど入らない。
あくまで静かに、小石川療養所に生きる人たちの辛苦を描き出す。
女郎屋でいじめ抜かれて心を固く閉ざした少女・おとよと
どうしようもない貧困に生き抜くためにこそ泥に身を落とした子供・ちょぼの場面など、
人というものの優しさ・哀しさが切々と伝わってきて、泣かずにはいられなかった。

 

映画の途中で一度、インド映画同様にインターバルが入れられた。
会場を見回すと、客層は見た目“コアな映画ファン”という感じの人々だった。
半分より少し多いくらいのシートが埋まっていただろうか。
在ムンバイ日本総領事館から案内が流されていたが、日本人の姿はない。
10分ほどの休憩をはさんで、上映が再開される。

 

文化が違えば笑いのツボも違うもの。
「なんでここで笑う!?」というポイントで、
何度も観客から笑いが湧いていたのが面白かった。
また、これは、という決め台詞が出た時やいいストーリー展開になった時などにも、
しばしば客席から拍手が湧き起こる。
自分も一緒になって手を叩いたり、泣いたり笑ったりしながら映画を楽しんでいたが、
インドの人たちが日本の映画を純粋に楽しんでくれているのがうれしかった。
また、これまで自分が知らなかった日本のいいものに、
異国の地で思いがけず出会えたこともとてもうれしく、
ストーリー終盤には、踊り出したいような気持ちになっていた。

 

小石川療養所に春が来て、映画が終わった。
満足感にみちた観客の拍手のなか席を立った。
前に座っていた若い男性が、席を立ちながら「日本人ですか?」と声をかけてきた。
一番目立って大きく笑ったり拍手したりしていた人たちのなかの一人だった。
「こんな素晴らしい映画を作ってくれたあなたの国、日本に“ありがとう”と言わせてください」。
感動さめやらぬ声で言われた。びっくりした。
自分がしたことではないことで“Thank you”とお礼を言われたのは初めてだった。

 

インドにお礼を言わなくちゃいけないことがどれくらいあるだろう。
小さい頃に家の中にいつも見ていた、
母がインドで買ってきたブロックプリントのカーテンの美しさから、
これまで袖触れあってきた人々の明るさや正直さ、
目が合っただけで話もしなかった人の、静かで強い目。
インド綿の服の着心地のよさ、インドふとんの優しい柔らかさ。
ひとつひとつ挙げたら、どれだけあるだろう。
そんなことを考え出したら、自分が生きてきたこれまでに
奇跡的に出会ったすべてのよいものにお礼を言わなくちゃいけない。
あぁ大変だ。どうしよう。

 

そんなことで慌てることのできる自分の幸福を身にしみ感じながら外に出ると、
人混みが引いて静かになった深夜のダーダルの町には、
店じまいをする気にならないディーワーリーのカンディール(飾り提灯)売りだけが
路上にまだまだ店を出していて、明るい星型のランタンを、きらきらと光らせていた。

 

 

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- Comments
8 Comments

祝・初黒沢おめでとうございます。
赤ひげは黒沢映画の中でも最高峰のうちの一つと言ってもいいでしょうね。
私も大好きです。
ラスト近くで、ちょーぼーが毒飲んで死にそうになって、療養所の女たちが井戸の中に向かって「ちょーぼー!ちょーぼー!」
おとよがちょーぼーにご飯あげてるとこを見て泣いた飯炊き女が、ご飯のときに「あんたは食べすぎなんだよ!」
ラストで、「やってみましょう!」「お・ま・え・は・馬鹿だ!」
観た人しか分かんないでしょうが、とても書ききれませんがどれもこれも素晴らしく、せつなく、あたたかい。
この映画を観て加山雄三はただのばかチン親父じゃないんだと理解しました。
黒沢映画の中では、いわゆるエンターテイメント系のもの(七人の侍とか、椿三十郎ものとかね)とは対極に位置するものでしょうね。
あー、また観たくなっちゃったなー。
DVD買っちゃおうかなー。
じつは黒沢映画全集買おうかどうか前から悩んでます。それと寅さん。


by f.c.toshio | 11 06, 2007 - URL [ edit ]

いい機会に恵まれて良かったですね。
きっと駐在員クラスの日本人は、日本に帰ればビデオをレンタルしていつでも見れるという感覚で、わざわざインドの映画館に足を運ばないのでしょうね。
そして、足を運んだおかげでMotiDDさんはインド人に感謝されるという思いがけない経験が出来たということなんでしょうね。
その言葉、MotiDDさんに掛けられたことを、私はなんだかうれしく思います。
だって、他の人だったらそういう風に考えてくれないだろうと思うから・・・。

by みみ | 11 06, 2007 - URL [ edit ]

f.c.toshio さま >>> ありがとうございます。DVD、買ってください(←借りられるから)。でも全集じゃなくていいです。寅さんとかは、常にテレビで放映しているべきですよね、いちいちDVD買わなくて済むように。そういう身近さ、気軽さで観たい気がします。 そうそう、あのまかないのおばさんたちが井戸に向かって叫び続けるシーン、そしておとよがその謂われを聞いて井戸に駆けてくるシーンはもうただただ泣けますね~。怖い場面は本当にゾッとするし(あの狂女になぜかんざしを与えておくのか?)、しみる場面は心から泣ける。初めて見たのが自分的にも最高峰な作品で、本当にラッキーでした。

不思議にインド人的にウケていたのが、洗濯物干し場でおとよがちょぼに説教するシーン。
ちょぼ「おいら馬になりてぇなー」
おとよ「馬に? どうして?」
ちょぼ「だって草が食えるからな」

(インド人観客 爆笑)

みんな“なるほど~そりゃそうだなぁ”と思ったのでしょうか。それともインドにも、ひもじい者が「牛になりてぇなぁ」と呟く常套句でもあるのか。文化の違いが映し出す不思議です。

by 【MotiDD】 | 11 06, 2007 - URL [ edit ]

みみ さま >>> ぽんと背中を押すような温かいコメント、ありがとうございます。よく「ムンバイには娯楽が少ない」という言葉を駐在系の人々から聞くような気がしますが、インド人に混じって大スクリーンで黒澤を観る、というのは恰好の娯楽なのに、もったいないな~……。ともあれ、映画祭はあさってまで。今日は『どですかでん』を見に行ってきます!(今日はフイルムがいい状態だといいな~)

by 【MotiDD】 | 11 06, 2007 - URL [ edit ]

文化が違えば笑いのツボも違うもの!
以前、映画をご一緒した時、Motiさんの笑いだけがシーンとした映画館に響いていたのを思い出しました。そんな、いつもマイペースな所がカッコエエなぁって思っていましたが・・。やっぱり、笑いのツボは人それぞれですね。
それにしても、インド人の映画ノリは凄いですよね。悔しい場面では、自分も一緒になって舌打ちを打ったり、笑えるところでは拍手しながらコメントしたり。
また、面白い映画情報があったら教えてくださいね。

by マチュリ | 11 07, 2007 - URL [ edit ]

>>マチュリ君
こんな遅い時間にコメントありがとう。わしはさらに遅いわけですが。
いやー、今晩観た「どですかでん」には参った……
人間、とくに男の情けなさ、卑劣さ、無力さ、弱さetcを、
どぎつい色彩の画面で悪夢のごとくこれでもかとばかりに見せつけられて、
映画に免疫のない自分には刺激が強すぎた。眠れません。
ここムンバイではスラムがすぐ身近にいくらでもあるので、
それがオーバーラップしてきて余計にやられました。

この映画祭で「赤ひげ」「七人の侍」「どですかでん」と立て続けに観て、
やっぱりインドでも有名なだけあってすごい人だったね、クロサワさん。ということはよーく分かりました。

by 【Satyanamak】 | 11 07, 2007 - URL [ edit ]

日本に帰国したおりには、「まぁだだよ」を、ぜひみてみて~
とやまんオススメの一本だよ♪

by とやまん | 11 07, 2007 - URL [ edit ]

とやまん >>> 日本の生活に浸ってしまうと、“隣の芝は青い”式に西方かなた天竺方向ばかり見てしまう。本格帰国した時には、“日本文化再見の旅”な暮らしを目指そうと思うよ。

by 【MotiDD】 | 11 07, 2007 - URL [ edit ]

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