プロフィール

satyanamak*motiDD

Author:satyanamak*motiDD


2006年夏、
人人人ひしめくムンバイに
猫猫ひきつれやってきた二人組。
夫 Satyanamak と妻 MotiDD
2008年11月には新たに
ムンバイ生まれのチントゥーも
登場しました。

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【MotiDD】血も涙もない

09月27日, 2011 | 未分類

6 Comments
新居に越したその翌日から、お掃除に来てくれているアンティ(Aunty=おばさん)。
大家さんが「この人なら鍵を渡しても安心」と太鼓判を押して
紹介してくれた中年の女性で、実際お掃除もよくやってくれるし、
人柄も穏やかで、半年以上お世話になっている。

働き始めの頃、家族は何人?というような話から、
「子どもを学校にやりたいのに旦那が働かないので
自分がこうして働いているのだが、
本来掃除なんかしないカーストなので姑が怒って
“あんたの汲んだ水なんか飲めない”と出て行ってしまった」
と泣き出してしまったことがあったので、
生半可でなくキツイ生活をしていることは知っていた
(インドの貧困層の女性は、何か聞くとすぐに泣き出す話になってしまうほど
常に厳しい辛苦にあるのだな、とそのとき改めて思った)。

そのアンティが、数年来働いてきた四階の大家さんのところを
「今月いっぱいで辞めることにしたんですが、それでも続けて雇ってくれますか?」
と聞いてきた。
「そりゃもちろん。でもどうしたんですか?」と聞くと、こういう話だった。

ある日いつものように大家さんの家に仕事に行くと、大家さん宅の孫についているメイドさんがお茶を飲んでいるところだった。「あぁおばさんも、どうぞこれ飲んで」とその若いメイドさんはアンティにお茶を半分わけてくれ、二枚あったトーストを一枚くれた。そこへ大家さんの奥さんが登場し、「これはあなたにあげたのではない」と、トーストとお茶を下げてしまった。私だって人間です。長いつきあいだからって安月給も我慢してきたし、困ってる時には助けてあげてきたのに。トースト一枚けちけちしなくちゃいけないような貧乏な家じゃないでしょう(まさか。我が家からの家賃収入だけであなたの月収の十倍を超えます)。私にだっていろいろ用事があるのに、最近はちょっと遅れると大声で怒る。だからもう、辞めることにしたんです。

最初は「アンティが辞めちゃったら大家さんの奥さんも困るでしょう」と
四階の肩を持っていた私だったが、この話を聞いた後は
「今月いっぱいなんて言わんと即刻やめてしまいなさい、そんな家!」だった。
普通にいい人たちだと思っていた大家さんがそんな人たちだったとは。
最近では下で顔を合わせてちょっと挨拶したりしても、
大家さんが悪人に見えてきて仕方がない……

そんなところへ、昨日また、大家さん冷血漢説を裏づけるようなことがあった。
おととい無断欠勤したアンティが昨日来たので、
「どうしたんですか?」と聞くと、下記のようなことを話し出した。

昨日家事を全部すませて仕事に出ようとすると、旦那に止められた。旦那は飲んでいて、「仕事仕事って毎日いそいそ出かけてくが、本当は外に男でも作ってんだろう」と言って往来で髪をつかまれ、ひどく殴られた。四人の子どもの母親をつかまえてですよ。あの人が仕事してくれたら私だって仕事になんか出ません。

こんなひどい話を、掃除しながら、もちろん泣きながらアンティは話すのだった。
ゴンさんも喜ぶからいつでも逃げて来てくださいね、と言って帰ってもらった、

その夕方。ゴンさんを連れて散歩に出るところを、
下で大家さんに呼び止められた。アンティのことだった。
「一昨日、彼女は来たかね?」
いいえ、と答えると、次のようなことを話し出した。

最近彼女は遅刻が多い。欠勤も無断で、他の家には連絡してくるのに家には連絡をよこさない。きっと勤め先を増やしたのだろう。一昨日だって無断欠勤だった。そんな家の事情なんかみんな作り話だ。我が家ではもうクビにして新しい掃除婦を雇うつもりだが、あんたのところでは彼女を雇い続けるのかね? それとも新しい人を回そうか?

私は弱い。
やっと見つけた気に入った新居、大家さんとの関係を悪くしたくなくて、
言うべきだったことを何一つ言えなかった。
連絡してこなくなったのはあなたがたの待遇が悪いからでしょう。
換気扇カバーでも取り換えるみたいにアンティも交換できると思っている。
あの苦労の染みた汗臭いサリーから、
彼女の生活苦をイメージする想像力がないからでしょう。
高層マンションの下に建ち並ぶスラムを見て、
貧困層を足の下に踏みつけにして初めて富裕層(ここに私を含む)の暮らしが
成り立っている、という世界の現実に目を向けたことがないから――

アンティのご主人は役立たずのろくでなしだが、
大家さんは冷血漢だ。血も涙もない。
作り話だったらなんだというのだ。
アンティの家まで行って近所の家に聞き込みでもして確認して来ない限り、
事実はわからないのだから、私なら信じる方を取る
(というか最初からまったく疑っていないのだが)。

悔しい。
このインドの貧富の差にだけはいつまでも慣れられないが、
世界全体を見渡せば、同様の貧富の差は歴然とあり、
比較的富の均された日本に暮らして目をそらすことはできても、
一度見てしまえば、知らないふりをすることはもはやできない。

インドが日本を抜かしてGDP世界第三位になった、という不可解なニュースが
記憶に新しい今日、その裏側を書き記しておく。


cozicat.jpg
駐車場で会う猫、しばしばゴミ箱で食事している。
さぞ栄養豊富なゴミがいっぱい出てるんだろうな。
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